
チバニャンさんが自宅への無断の出前・商品送付をやめるよう求めた声明を引用し、溝口勇児さんが「大丈夫か」と投稿しました。
そこで本記事では、この短い呼びかけを入り口に、以下の4つの構成で気になる情報や役立つ豆知識などをお届けします。
- 溝口勇児さんの「大丈夫か」とチバニャンさんの声明のニュース紹介。
- 「情報の受け止め方と他人への感情」に関する2つの豆知識。
「やっぱり正しかった」誰もが経験したこの感覚のメカニズムが面白すぎた!
なぜ炎上ニュースをつい見てしまうのか?他人の失敗を見ると「脳」が喜ぶメカニズムが恐ろしすぎた!
- Xのコメントまとめ。
- 筆者の感想。
今回の投稿に注目しながら、思い込みや他人の不幸への感情にまつわる豆知識も身につけていただき、SNSでの受け止め方を改めて考えるきっかけになれば幸いです。
それでは早速、溝口勇児さんの投稿から見ていきましょう。
溝口勇児さんとチバニャンさんのニュース情報
今回の溝口勇児さんの投稿と、引用元のチバニャンさんの声明をまとめました👇。
今回の呼びかけをきっかけに、SNSの情報を受け止める際に知っておきたい、思い込みと他人への感情にまつわる2つの豆知識をご紹介します。
「やっぱり正しかった」
誰もが経験したこの感覚のメカニズムが面白すぎた!
「やっぱり自分の考えは正しかった」と感じた経験はないでしょうか。
私たちは情報を公平に見ているつもりでも、自分の判断を支持する情報を重く扱い、反対の情報を軽く扱ってしまうことがあります。
こうした傾向は「確証バイアス」と呼ばれています。
2019年にオンライン公開された研究では、他人の意見を判断に取り入れる際の偏りと、脳活動との関係が調べられました。※1。
ここでは、なぜ反対意見を受け入れにくくなるのか、脳科学の研究を手がかりに見ていきます。
脳は「同意する意見」と「反対する意見」を同じようには扱わない。
UCLなどの研究チームは、42人の参加者をペアにし、住宅の価格を推定してもらいました。※1。
参加者は、住宅の価格が提示された基準額より高いか低いかを判断し、自分の確信の強さに応じて賭け金を設定しました。※1。
その後、相手の判断と賭け金を知り、自分の判断への確信を更新しました。※1。
相手が同意している場合には、相手の確信の強さが、自分の確信や後内側前頭前野の活動に反映されていました。※1。
一方、相手が反対している場合には、その確信の強さへの脳の感受性が低下していました。※1。
この結果は、同意する意見と反対する意見では、その説得力の使われ方が異なることを示しています。※1。
ただし、反対意見を一切記憶できなくなると証明した研究ではありません。
「確信の強さ」がバイアスをさらに強める。
2020年にNature Communicationsで発表された研究では、自分の判断への確信が、その後の証拠の処理をどう変えるかが調べられました。※2。
参加者は動く点を見て、その動きが左右のどちらに向かっているかを判断しました。※2。
最初の判断と確信度を回答した後、さらに点の動きを見て、最終的な判断を行いました。※2。
研究では、行動の分析に加えて、脳磁図を使った脳活動の測定も行われました。※2。
高い確信を持っている場合、自分の判断を支持する証拠が強く取り入れられ、反証となる証拠の処理が弱まることが示されました。※2。
これは、単に「反対意見を嫌っている」という気持ちだけでなく、判断後の情報処理にも偏りが生じる可能性を示しています。
もっとも、実験室での知覚判断の結果から、特定のSNS利用者の心理を決めつけることはできません。
矛盾する情報は「届かない」のではなく、使われ方が偏る。
2025年の研究では、確証バイアスが情報の取り込みと利用のどちらの段階で生じるのかが調べられました。※3。
研究者たちは、視覚的な証拠を使って判断する課題を行う参加者の脳活動を、脳磁図で測定しました。※3。
その結果、自分の選択に反する証拠も、頭頂皮質には精密に表現されていました。※3。
しかし、その情報が後の回答に与える影響は、選択と一致する情報より小さくなっていました。※3。
つまり、反対の情報が脳に入っていないという説明では、結果を十分に捉えられません。
研究は、すでに表現された情報を判断のために取り出す「読み出し」の段階に偏りがあることを示しています。※3。
これは、本人が意識的に情報を隠したり、わざと無視したりしていると断定するものでもありません。
確証バイアスに気づくためにできること。
自分の考えを支持する情報に偏る傾向は、「自分には関係ない」と思っていると見落としやすくなります。
2020年の研究では、確信が情報処理に関わることから、メタ認知への働きかけが偏りを和らげる可能性が論じられています。※2。
メタ認知とは、自分の判断や確信を、一歩引いて捉えることです。
日常の情報確認に応用するなら、「何を根拠にそう判断したのか」と自分に問い直すことが考えられます。
また、自分の考えと異なる説明が成り立つかを検討することも、確認の仕方として役立ちそうです。
これは、特定の問いかけだけでバイアスが必ず消えると証明された方法ではありません。
SNSの短い言葉を読むときにも、本文、引用元、日時を確認してから受け止める姿勢を持ちたいところです。
これらの研究は、判断への確信や意見の一致が、新しい情報の使い方に関わることを示しています。
反対の情報が脳に表現されていても、その情報が判断に十分反映されないことがあります。
「やっぱり正しかった」と感じたときこそ、支持する材料だけを見ていないか、立ち止まって確認するきっかけにしたいですね。
なぜ炎上ニュースをつい見てしまうのか?
他人の失敗を見ると「脳」が喜ぶメカニズムが恐ろしすぎた!
他人の失敗を見て、心のどこかで満足してしまった経験はないでしょうか。
他人の不幸に喜びを感じる感情は、ドイツ語で「シャーデンフロイデ」と呼ばれます。
2009年の研究では、妬みとシャーデンフロイデに関わる脳活動が、fMRIを使って調べられました。※4。
ただし、炎上ニュースを読む人が全員この感情を持っているわけではありません。
ここでは、他人への感情がどのように研究されているのかを見ていきます。
妬みの対象の不幸に、報酬に関わる脳領域が反応する。
高橋英彦氏らの研究では、架空の人物についての情報を使い、参加者が感じる妬みと脳活動が調べられました。※4。
自分にとって重要な分野で優れている相手は、妬みの対象になりやすい条件として扱われました。※4。
研究では、その人物に不幸が起きたときの感情と脳活動も測定されました。※4。
妬みを感じる相手の不幸には、報酬の処理に関わる線条体の活動が伴っていました。※4。
また、妬みの強さと、後に感じるシャーデンフロイデの強さとの関連も報告されました。※4。
この結果は、他人の不幸が喜びにつながる場合があることを示しています。
一方で、どんな不幸でも誰の脳でも喜びが生じる、という意味ではありません。
妬みと、痛みに関わる脳活動とのつながり。
同じ研究では、妬みが強い条件で、背側前帯状皮質の活動が高まることが報告されました。※4。
この領域は、痛みや葛藤などにも関わる脳領域です。
ただし、同じ領域が活動したというだけで、妬みと身体の痛みが完全に同じ体験だと結論づけることはできません。
研究では、妬みを感じた段階の活動が、相手の不幸を見た段階の線条体の活動を予測していました。※4。
自分と相手の比較で生じた感情が、相手の後の出来事の受け止め方にも関わる可能性があります。
他人の失敗への反応を考えるとき、その前から持っていた感情も無視できないということです。
SNSでの反応を、すべて「ざまあみろ」と決めつけない。
SNSでは、心配、批判、冗談、応援など、さまざまな反応が同じ画面に並びます。
同じ投稿を読んでいても、利用者が感じていることまで同じとは限りません。
2009年の研究は、架空の人物を使った実験であり、SNS上の炎上への参加を直接調べた研究ではありません。※4。
したがって、コメントを一つ見ただけで、その人が他人の不幸を喜んでいると判断することはできません。
また、刺激の強いニュースを見る影響と、シャーデンフロイデを感じる影響は、分けて考える必要があります。
この研究から、「他人の不幸を喜ぶとPTSDになる」という因果関係を導くこともできません。
研究を身近な話題に当てはめる際には、実験で確かめられた範囲を超えて説明しないことが大切です。
なぜ、自分と他人を比べてしまうのか。
妬みを考えるうえで重要なのは、相手の成功が自分にとってどのような意味を持つかという点です。
2009年の研究でも、相手が優れていることに加え、その分野が自分に関係していることが妬みの条件に関わっていました。※4。
誰かの活躍を見たとき、純粋に応援する場合もあれば、自分の立場と比べてしまう場合もあります。
SNSでは他人の成功や評価が目に入りやすく、自分の比較の仕方を振り返る機会にもなります。
ただし、「手が届きそうな有名人ほど必ず妬まれる」と、この研究だけから断定することはできません。
他人の失敗が気になったときは、出来事への関心なのか、自分の比較から生まれた感情なのかを考えてみてもよさそうです。
脳科学の研究では、妬みの対象の不幸と、報酬に関わる脳活動との関連が示されています。
それでも、個々の投稿者の気持ちは、脳科学の一般的な知見だけでは判断できません。
自分の反応を振り返る材料として使いながら、相手の困りごとまで娯楽として扱っていないかを考えたいですね。
Xのコメントまとめ
それでは、今回のニュースへの反応と、溝口勇児さんの発信に寄せられたコメントを紹介していきます。
まずは、今回の投稿や引用元の声明に関連する3件です。
投稿者の受け止め方を紹介するものであり、本人の意図を確定するものではありません。
続いて、溝口さんが10月4日に発信した、里親制度に関する活動への反応2件です。
こちらは今回の自宅被害に直接寄せられたコメントではなく、人物に関する別の投稿への反応です。
筆者のコメント
今回、私が最も気になったのは、チバニャンさんが自宅を安心して暮らす場所として守りたいと伝えている点です。
配信や音楽を楽しむことと、その人の生活空間に踏み込むことの間には、大きな境界線があります。
画面越しに何度も姿を見ていると、知り合いのような親しさを感じることはあると思います。
しかし、その親しさは、相手から私生活への立ち入りを認められたことを意味しません。
頼んでいない品物が自宅に届くという出来事も、送り手と受け手では受け止め方が大きく違うはずです。
送り手が驚かせるつもりだったとしても、受け手には「誰が自分の住所を知っているのか」という不安が残ります。
品物の金額や内容だけで、迷惑の大きさを測ることはできないと感じました。
自宅で過ごす時間にまで警戒が必要になるなら、生活への影響は軽くありません。
本人がやめてほしいと明確に伝えた以上、その言葉をそのまま尊重することが、応援する側にできる最も基本的な対応だと思います。
溝口さんの「大丈夫か」は、とても短い投稿です。
その短さゆえに、心配の言葉として受け止める人も、普段のキャラクターと結びつけて読む人もいるのでしょう。
ただ、読み手の想像を、本人の本当の意図として扱うことには慎重でありたいです。
今回紹介した確証バイアスの研究は、自分がすでに抱いている印象が、新しい情報の評価に関わることを考える材料になります。
好きな人の言葉は好意的に読み、苦手な人の言葉は悪意のあるものとして読んでしまうことは、私自身にも起こりうると思います。
だからこそ、人物への評価と、今回確認できる出来事を分けて見る必要があると感じました。
相手を心配する投稿の下で、さらに根拠のない疑いを広げてしまえば、話題の中心がずれてしまいます。
誰が送ったのか、どんな意図だったのかについて、確認できないことを埋め合わせる必要はありません。
ここで大切なのは、被害を訴えている人が、これ以上同じことをされないことです。
他人の失敗や困りごとは、SNSでは一瞬で面白い話題に変わることがあります。
それでも、画面を閉じた後に不安を抱えて生活するのは、話題になった本人です。
見る側の数秒の楽しさと、受け手の長い不安を同じ重さで扱うべきではないと感じます。
応援は、相手が活動を続けやすくなる方向に向けたいものです。
作品を聴く、公開された投稿を見る、認められた方法で感想を伝えるといった行動でも、気持ちは十分に届けられます。
今回の声明が、本人に繰り返し説明を求める流れではなく、距離感を見直すきっかけとして受け止められることを願っています。
引用文献
- ※1 Kappesほか「Confirmation bias in the utilization of others’ opinion strength」。
https://www.nature.com/articles/s41593-019-0549-2
UCL「Strength of conviction won’t help to persuade when people disagree」。
https://www.ucl.ac.uk/news/2019/dec/strength-conviction-wont-help-persuade-when-people-disagree - ※2 Rollwageほか「Confidence drives a neural confirmation bias」。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16278-6 - ※3「Confirmation bias through selective readout of information encoded in human parietal cortex」。
https://www.nature.com/articles/s41467-025-61010-x - ※4 Takahashiほか「When your gain is my pain and your pain is my gain: Neural correlates of envy and schadenfreude」。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.1165604
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19213918/




















